くらむせかい

精神虚弱なぼっちヒキニート

悩みのある世界

悩みのある世界

 

 

 

悩み事があって当然でだからわたしの悩みもおかしくないことを証明された午後四時半

わたしたちはすれ違いながら本当のわたしは立ち止まっていて歩いているのはあなたたちだけ

残酷な映画を観ても死にたがりの歌を聴いてもわたしの目には映らない耳には聴こえない

橋の上から見下ろせばボラの子どもが泳いでいてそのすぐそばを金色の大きな鯉が泳いでいった

ここはもうそこに近くてわたしたちは同じ空を見上げながら違う歩幅で歩いて行こうとしている

それが悲しいことだとは知らずにいて繰り返し同じ文章同じ歌詞をそらんじてみては潰れそうな心を持て余す

同じことをしてもわたしとあなたでは出来が違っていてわたしにはどうしても越えられない壁があった

言い訳をしてみてもだれにも許されない人生は短く芸術は長いとAIが言い聞かせるように検索候補を羅列する

どこまで行っても壁はあってぐるりと回ればスタート地点に帰ってくる夜

悩み事のひとつも話したいがだれの耳にもイヤホンが刺さっていてわたしたちは話し合えない文章でしか話し合えない歌でしか知り合えない

正方形のまな板で作ったあんぱんを焼きながらもうすぐ訪れる朝を考えている

ディアムーンわたしたちは悩みながらその悩みは凡庸だと歌われながら眠りにつく

大学の構内を紅葉が色づき必ず約束されるものが約束されて枯れ葉のような絵を描く