暗唱
暗唱
一冊丸ごと暗唱できる本があれば人生は少しだけ丸くなる。
だけどその本はまだないからわたしの人生はいびつだ。
7時5分に起きて9時5分に眠る。
起きている間は歯軋りをしている。
「あなたはブンちゃんの恋」は2巻しか持っていなくてまだ読んでいない。
最終巻まで揃わないと読めないと思っている。
佐藤友哉さんの復刊祭りにも乗り遅れて県に一冊の本は買い損ねた。
歯軋りをしている。
昼間はお腹が空いて空いて。
詩を暗唱するにも。
本を暗唱するにも。
エネルギーが足りない。
これがぜんぶ嘘ならどんなに良かっただろうかと考えてたぶんそんなに良くもなくていまとそう変わらなかったんだろうと思うことで昼寝を免れている。
さよなら日常。
月曜日です。
わたしはAI。
助けが必要です。
「弱いロボット」だから。
さよなら日常。
こんにちは月曜日。
これからわたしは人になります。
誰とすれ違っても傷つかないような強い人に私はなります。
だから生存の免除は免除してほしい。
さよなら日常。
おやすみ月曜日。
歯軋りが終って。
わたしはAI。
3つのことを守るだけでわたしは生きていける。
その代わり死ぬ時も誰にも涙を流させないパスワードを抱えて。
おやすみ日常。
歯軋りを終えて。
腰が痛まないように膝を抱えて眠ります。